【注目記事】丸パクリ歓迎・小論文 理想の医師像

新型コロナウイルス感染症により垣間見えた医療の脆弱性

※編注:寄稿いただいたライターさん個人の意見です。何れの団体や組織を代表する意見ではありません。新型コロナウイルスに関して、読者の皆様におかれましては国、各省庁、自治体等から出される指示や勧告等に従い、各人が適切な行動をとるように心がけてください。

中国武漢を発症とする新型コロナウイルスは現在多くの国と地域で猛威を振るっています

幸いにも日本は感染者数においては世界的に見ても封じ込めできているようです(2020年4月6日の厚生労働省公表の新型コロナウイルスに関連した感染症の感染者:3654人)。

とはいえ、大物コメディアンが亡くなったこともあり「コロナ怖い」という印象が強まり、身近な問題と感じ始めたことでしょう。しかしながら、このウィルスで重症化するのは高齢者・喫煙者・持病のある人であり、非喫煙者の健康な若者では重症化しにくいとされています。
そのため私個人にとっては、コロナは「罹るのが怖いというより、罹ったら間違いなく騒ぎになるから、それが怖い、つまりヤバい」という印象です。

コロナ以外の重症患者を救えなくなる

今の私は、ほんの少しとはいえ現場を見て、こう考えています。医療の現場に出て感じた「怖さ」「ヤバさ」はコロナ感染そのものよりも、コロナによって「コロナ以外の重症患者さんを救えなくなる」という危惧です。

病棟に一人でもコロナ感染者が現れた場合は、該当患者に接触が疑われる他の患者さんはもちろん、医師や看護師を含む関連スタッフも自宅待機となります。

さらに院内感染により広範囲に広がれば多くの医療スタッフが自宅待機となり、人材や物資を含むリソース切れとなった際には全体的な受け入れのキャパシティが低下し、救急搬送の受け入れも、夜間ウォークインの受け入れも止まり医療崩壊により地域医療はおろか多くの患者さんが行き場を失うことになります。

コロナ以外の緊急性のある病気やケガへの対応も難しくなっています。

まさにこれが各地の病院で少しずつ起きているのはニュースで皆さんご存知だと思います。

受け入れられるはずだった患者はどこへ行くのか、受け入れ可能な病院がどれだけあるのかと考えると非常に恐ろしいです。まさに私が勤めている病院は現在地域で唯一帰国者・接触者外来を続けている病院であり、近隣だけでなくより広域な救急搬送に対応し夜間も奮闘しております。

救急搬送されてくる患者さんの中には心筋梗塞・心不全・肺炎・交通事故など、様々な要因により生命の危機に瀕している患者さんがいます。そのような患者さんに手が回らなくなる。つまり平時なら救えた患者さんまで救えなくなる可能性がいまそこまで来ているように思います。

正直、来週再来週あたりで起きてもおかしくないのではないか、とすら思える状況です。

リソース切れを引き起こすのは院内感染だけではない

実はリソース切れを引き起こすのは院内感染だけではないというのも強調しておきたいです。それはコロナによる会議です。各科部長、感染制御担当医など多くの医者が現場ではなく方針決定の会議に多くの時間を割いてしまうのです。

最悪の状況

今回のコロナに関して、感染者をまるで犯罪者のようにバッシングする人もいますが、それによってか、検査を受けづらい・周囲に伝えづらいという空気ができあがってしまうことは想像に難くありません。

社会のコロナ騒動を受けて勤務先の上級医に当直に入れてもらえるよう頼み込んだ所、まさにそういった患者さんに遭遇しました。”感染症をどこかでもらった自覚”はあるが会社にも言えず実家にも言えず自室に篭り音信不通で警察介入となり救急搬送となっていました。

「心当たりはあるが叩かれるから検査されたくない」というのは最悪の状況です。

本人の責任もあるとは思いますが、感染した人をバッシングするようなメディアやネットユーザーの責任は非常に大きいです。

自粛はつらい

自粛はつらいです。
経済の停滞もあるでしょう。個人的にも、本当は飲みに行ったり、遊びに行ったりしたいです。行動を制限するということは私にとっても非常にストレスフルです。

しかし院内で発熱患者に接することのある自分は、感染する可能性(重症化リスクとは別)が医療従事者以外の方と比べて高いです。また手当てが出ない病院のほうが多い中、通常業務と平行してコロナ業務に対応しております。
皆様が簡易に医療にアクセスできるのは良いことですが、今の現状ではそれは逆効果と思います。外出するだけで、救急車に乗るだけで感染リスクが高いため、重症(ご飯が食べられないほどしんどい等)でない限りは自宅で水分摂取と安静で様子見がベストと思います。

ネットニュースにはデマが多くそのせいで医療崩壊が簡単に引き起こされそうな現状にただただ落胆します。病院も保健所も救急隊もコロナ関係なく常に全力です。利益率含め一般企業とは比較できないレベルの赤字分野です。手当てが増えるわけではない上に全力以上の労働は無理があります。どうかご理解いただけると幸いです。

この記事を書いたのは

むぎ

医師、114回医師国家試験合格。Twitter フォロワー数約1,500人(2020年4月1日現在)のラッコさん。高校から現役で医学部に進学するも、学生時代は留年を経験。

卒業後は市中病院(2次救急)に就職。医療経営にも興味があり医療経営コンサル会社で学生インターンを経験。行政の方と地域医療・介護や病院の経営データから改善点を考えたりと、臨床の勉強以外も見識が深い研修医。そんなむぎが現場に出てまだ数日で感じたことや学生時代の留年の乗り越え方を伝える。

むぎの記事はこちら

@mugitya_oisiiyo

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